Rock'n'文学

猫ときどき小説書き

映画「ボヘミアン・ラプソディ」

我が下僕(ヒト)、かく語りき。


あまりに長きわたるQueen愛が深すぎて、映画「ボヘミアン・ラプソディ」は絶対観ない派(時が過ぎてブームが去ったころにこっそり観よう)、と公言してまいりましたが、とうとう機内で観てしまいました。まあいつまでも「どうして観ないの?!」という問い詰めにあい続けているのも疲れるし、とりあえず一回くらい観ておいてから感想を伝えるほうが楽であろう、などいろいろ言い訳しつつ。
以下、簡単に。

<よかったところ>
・なによりも猫たちの演技が素晴らしかった。本当に愛してるよって身体中で演技していた。猫なのに、これは見事。
・ライブやレコーディングの場面の、全メンバーの服装およびアクション、ささいなしぐさまで本当によくそっくりに作っている。(しかしね、それらはすでにたくさん発売になっているDVDその他できちんと本物が観られますからね、みなさん。よくできた真似だけれど、本物観たほうがいいよ)
・ジョン役は非常によく似ていて、ときどき本人じゃないかとさえ思えた。ブライアンはまあまあ。ロジャーみたいな超美形は最初から無理。

<あまり好感が持てなかったところ>
・フレディ役の俳優の声がひどい。あんな声はフレディじゃない。あとあんなに目がでかすぎないし、あんなに出っ歯がひどくもない。それに、フレディの英語は完璧なクィーンズイングリッシュだったはずで、だからこそ「ダーリン♡」なんて言っても品があったんじゃないかな。
・ストーリーがペラペラ。こんな単純で薄っぺらな話にしないでほしい。どこが感動の物語じゃ。Queenやフレディに関して書かれたたくさんの書物や関連DVDに目を通している人なら、こんな程度のことをいかにも「これがフレディの真実」みたいに大げさに言って紹介されたくないな、と思うのではないでしょうか。(唯一ぐっときてしまったのは、父とフレディが和解した場面。)

音楽やライブの素晴らしさは、本物がDVDでいくらでも観られますから、どうかみなさん、そちらを観て。

でもこの映画でQueenの魅力に目覚めた、再認識した、という人は本当によかったですね。人生における幸福ですよ、祝福します。そうそう、またこのブームに乗じてQueenAdam Lambertとして来日するらしいので、本物のライブもどうぞ。数年前に来日したとき観ましたが、Adamはそんなに悪くないです。少しばかり下衆な感じの、2丁目感あふれるフレディになっちゃいますが、フレディに対するリスペクトがちゃんとあって「代役」である自分を認識してそれをちゃんと演じてるところが好感が持てました。これを本物のQueen、というのは抵抗ありますが、観て損はないと思います。私は今回は行きませんけどね。

というわけで、映画公開以降ずっと、「ある日突然自分ちの庭に知らない人が大勢押しかけて宴会を始めた。今はただその宴会が早く終わってくれないかと祈っている」という気持ちでありましたが、まだまだしばらく宴会は終わらなそうであることに、あきらめの嘆息をつくしかない偏屈な人間であります。

   <下僕のライブラリーから>

 

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なかでもオタク度高い人には、「フェアリー・フェラーの神業」をお薦めだって。アルバム「QueenⅡ」好きならぜひ。